第18章

会場二階。

御影怜司は手すりの向こうから、その一部始終を見下ろしていた。薄暗い照明が横顔をなぞり、眉骨から顎のラインへと這うように走る傷痕が、もともと冷ややかな容貌に、鋭さと残忍さを無理やり刻みつけている。

酒井初音が、思わず彼を庇って「旦那」と呼んだ――その瞬間。

漆黒の瞳の奥が、かすかに揺れた。怜司は呆けたように彼女を見つめる。

喉がからからに乾き、ほんの一拍、思考が飛んだ。

……いつ以来だ?

外で、誰かが自分を守ってくれたのは。

自分ですら、この身体に慣れてしまった。嘲笑われても侮辱されても、怒るのすら面倒になっていたというのに。

それでも酒井初音は、外で必死に彼の尊厳...

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