第180章

久世直哉の眼差しには、陰の湿り気がまとわりついていた。酒井正志の両脚は――できることなら、自分と同じように壊れてしまえばいい。

自分と同じように、健康な脚を持つ連中をただ見送るしかなくなればいい。健常者に突き飛ばされ、二度と立ち上がれないほどに叩き潰されればいい。

あいつは、俺を蹴り倒すのが大好きだったじゃないか。

脚を引きずり、立てなくなった俺の姿を眺めるのが楽しかったのか?

なら、今度は立場を入れ替える番だ。

美月は約束した。《通血秘伝書》さえ手に入れればいい、と。たとえそれで自分の脚が治らなくても、《通血秘伝書》は今この瞬間、酒井初音が何より執着しているものだ。

それを奪え...

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