第188章

リング上。

久世玲央は酒井初音に一発で倒されても、歯を食いしばって立ち上がった。痛みに顔を歪めながらも、視線だけは不思議なくらい穏やかに彼女を見つめる。

忘れられるはずがない。忘れていいはずがない。

あの――監獄の大火事の夢。

夜、目を閉じるたびに呪いみたいにまとわりつき、玲央を削っていく。鮮明すぎるほど鮮明で、まるで夢の中の自分になって、鎖だらけの酒井初音を冷めた目で眺めていた。

血に染まった白布で目元を縛られた、あの姿を。

……初音の目は、どうした?

誰かに――抉り取られたのか?

どうして彼女は、あんな暗闇の牢に閉じ込められていた。誰が、誰が彼女をそこへ送った?

夢は、...

ログインして続きを読む