第191章

試合会場――。

酒井初音がハリソンの急所を押さえ込んだ、その刹那。自分が無防備な背中を三浦宏明に晒していることも、当然わかっていた。

いま三浦が背後から仕掛けてきたら、初音はハリソンを制しながら同時に対処することなどできない。

だが、さっきハリソンに背中から叩き込まれた一撃は、三浦の肋を砕きかねない重さだった。あの状態で、果たして初音と渡り合えるのか――。

警戒した、そのとき。

ズ……ズ……と、床を踏みしめる音が近づいてくる。

初音の胸がきゅっと縮む。手にした銀針が容赦なくハリソンの心脈へ吸い込まれた。狙いは寸分違わず、急所を正確に射抜く。

観客はただ、目を見開くしかなかった。...

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