第195章

酒井秀雄――その名は、帝都から消えてもう四年になる。

だが久世隆臣は、その名を耳にした瞬間、誰のことかを思い出していた。

酒井初音の、あの貧乏くさい養父だ。

いい歳した男が、息子を二人連れていながら、花のように可愛い養女を抱え、酒井初音だけを白く柔らかく育て上げた。反対に、実の息子たちは黒く痩せて、干からびたみたいな有様。

成人男性が、どうして養女にだけそんな扱いをする?

そう思った時点で――隆臣の頭は、どうしても「そっち」に引っ張られた。

酒井初音が久世家に戻ってきた年、まだ十六歳だったのに、久世家で蝶よ花よと育てた美月よりもずっと瑞々しく見えた。値段も分からないプリンセスドレ...

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