第199章

久世美月は乱され、額から冷や汗が止めどなく滴り落ちた。

『通血秘伝書』が難物なのは覚悟していた。だが、ここまでとは思っていなかった。穴位はどれも見つけづらい。書かれたとおりに刺そうとしても、求められる刺入の強弱、速さ、間合い――その塩梅がとにかく掴めない。

一刺しごとに条件が違う。

思わず「代わって!」と叫びたくなる。だが、できない。直哉兄の脚を治し、酒井初音を完全に踏みつけてやらなければならない。

手つきはぎこちないながらも、進みは遅くない。ほどなくして、いよいよ刺絡――放血の段に入った。

そこは、最も危険な山場でもある。

美月の緊張はさらに増した。

けれど彼女は知らない。

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