第21章

酒井初音は澄んだ瞳をふっと持ち上げ、御影怜司の奥行きのある眼差しを真正面から捉えた。

「御影さん。あなたが言ってた『好き』って……これのこと?」

刹那、光と影が交差する。

男の輪郭はいっそう立体的に、研ぎ澄まされて見えた。伏せたまつげの下、冷たいほど白い肌。すっと伸びた首筋に喉仏が浮き、どこか言葉にしづらい色気が滲む。

細い手首は、まだ彼の大きな掌に握られたまま。初音は高鳴る鼓動を押し隠すように目を上げ、耳の先がじんわり熱くなる。

――つまり、彼女が「好き」と言っただけで、御影怜司は1億を投じて、彼女の欲しがっていた銀針一式を競り落とした……?

御影怜司は目を沈め、喉の奥がかすか...

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