第27章

酒井初音のキスは容赦がなかった。絡みつくような口づけが唇から男の顎へ落ち、ゆっくりと、上下する喉仏へ――。

次の瞬間、酒井初音はまた突き放された。

ぼんやりした目で御影怜司の複雑な瞳を見上げる。男は咄嗟に鼻を押さえ、ぽたり、ぽたりと落ちた血が薬湯の湯面で弾けて、紅い蓮の花みたいに広がった。

「ん……私がそんなに色っぽいから、鼻血まで出たの?」

酒井初音はくすっと笑い、慌てて彼の腕を支えると、そのまま脈を取った。

少女の瞳がぱっと輝く。満足げに頷いて言った。

「うん、いい感じ。薬湯の効きが想像以上ね」

「この薬はね、あなたが本気で情が動かないと、身体に作用しないの」

「御影怜司...

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