第30章

久世家の邸宅。

寿宴の開宴が迫り、帝都の名士たちが続々と集まっていた。久世家にとって、年に一度のもっとも栄えある日――だからこそ、家中がぴりりと張り詰めている。

久世美月はドレッサーの前に座っていた。今夜の彼女はシャネルのオートクチュールのドレス。雪のように白い裾が、まるで姫君のような気品と美しさを際立たせている。

けれど眉間には、どうしても消えない憂いが差していた。

「ママ……玲央が御霊舎で、もう丸一日と一晩、ずっと跪いてるの。もう許してあげて?」

久世雪菜も、同じように気が重かった。

五人いる息子の中で、いちばん手がかかるのは玲央だ。勉強も仕事もからきし――とはいえ、他の息子...

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