第39章

酒井初音は、澄んだ瞳をぱちぱちと瞬かせた。

からかうような、妙に人を誘う言葉がするりと口をついて出る。――御影怜司の眼差しが、じわじわと深く沈んでいくことにも気づかないまま。

次の瞬間、車内の仕切りが上がる音がした。

「ん?」と小首をかし、そちらを見ようとした初音のうなじを、怜司の長い指がすっと捉える。

ひよこの首根っこでもつまむみたいに、繊細な肌をきゅっと挟まれた。ざらついた指の腹が、わずかに擦れて――

触れたところから、電流みたいなものが一気に広がった気がした。

怜司は伏し目がちに彼女を引き戻し、腕の中へ。

喉仏がごくりと上下する。次いで、長い腕が腰を抱え込み、ぐいっと持ち...

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