第49章

「――だから、何?」

そのひと言に、場にいた目端の利く連中の顔色がさっと変わった。久世美月へ向ける視線には、言葉にしない理解が滲む。

……チッ。つまりこういうことだ。

久世美月は、本来なら“正しい版”の企画を握っていた。なのに、どんな心境だったのか――一ノ瀬玲奈が「酒井初音が久世美月の案を盗用した」と突き止めたあと、酒井初音が“改稿した文案”を、久世美月がそのまま写してしまった。

結果、今日の企画書には低レベルなミスが連鎖的に混入した。

皆の胸中で思考が何度も折り返し、久世美月の腹の内も見えてくる。

論理的に考えれば。

久世美月は、初歩的な誤りに気づきもしないまま、自分の案を盗...

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