第73章

病室のベッド脇で、久世湊は久世美月の顔をじっと見つめていた。

自分の潔白を証明するには、『夜桜眠らず』の編曲が必要だ。

酒井初音が、ここまで胸くそ悪くひっくり返してくるなんて――想像もしなかった。

よりにもよって、彼の「音楽の実力」そのものを疑わせるなんて。

久世湊はデビュー以来、ファーストアルバム『轟き』で一気に神格化され、音楽界のトップアイドル歌手としての地位を固めた。

その後に書いた詞曲も、『轟き』ほどの眩い切れ味には届かないにせよ、決して駄作ではない。

ただ、デビュー時の“頂点”があまりに鮮烈すぎた。

本人ですら二度と越えられないほどに。

だからこそ、後年の作品が平凡...

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