第81章

酒井初音の一言一言が、久世湊の胸の奥へ――塩水に浸した刃をねじ込むみたいに突き刺さった。

息が詰まる。吸って、吐いて、そのたびに鉄錆の味が喉元までせり上がり、痛みで視界が滲む。

それでも湊は分かっていた。自分に許しを乞う資格などない。

いまの初音の冷たさを、責める理由もない。

彼はただ黙って身を引き、皮肉でしかない「原告席」へ戻った。

――ただし今度は、久世美月から遠く離れて。

かつて最も近かった兄妹の間には、いまや越えられない断崖が横たわっている。

美月は悔しそうに湊へ近づこうとしたが、久世悠真に腕を掴まれて止められた。悠真は目を伏せ、首を小さく振る。声も少し冷たい。

「美...

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