第88章

弁護士がどんな手を使って控訴を続けようが、保釈を狙おうが――それは全部、これからの話だ。

いまこの場で、久世雪菜と久世美月が身柄を取られる結末だけは、もう覆らない。

二人の手首には手錠がかけられ、係員に挟まれるようにして連れて行かれる。まずは留置場送り。

去り際、久世雪菜の怨嗟に濡れた視線が、ずっと酒井初音を刺していた。まるで悪鬼。今にも飛びかかって噛みちぎりそうな目つきで。

「酒井初音。実の母親を侮辱した報い、必ず受けるわよ」

「私が入ったら、あんたの父親とおばあさんが黙ってると思う? あんたを許すはずないでしょ」

酒井初音は、華奢な肩をふわりとすくめる。目は冷え切っているのに...

ログインして続きを読む