第96章

「もし私が勝ったら――今泉家が帝都郊外・雲区に持っている土地、全部いただくわ!」

酒井初音は、今泉理子に会うまで彼女のことなどまったく知らなかった。けれど、YN復元クリームの加工工場用地を選定する企画書を作った際、雲区については一通り調べている。

今泉家は代々、雲区一帯の地所を取り仕切ってきた家だ。のちに本邸を市街へ移したものの、雲区はあまりに荒れていて、結局ずっと手つかずのまま放置されている。

百年の書香門第。研究するのはJ国文化ばかりで、商いに出る者は少ない。だからこそ、近い将来「科研新創センター」が移転してくるなど、気にも留めていないのだろう。

さきほど今泉理子が「父が御影良介...

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