第28章

星野結花はそう言い残すと、小走りにその場を離れた。

少女のいたずらっぽい背中を見送りながら、新山晃は甘やかな笑みを浮かべる。

――『一万以上はダメ。あんた、腕が悪すぎる!』

よくもまあ、あんなことを言えたものだ。

もっとも、妊娠しているのを盾にしているだけだろう。自分が手を出せないと分かっている。

「……急ぐ必要はない」

新山晃は窓の外へ視線を流し、その眼差しは次第に柔らかくなっていった。

……

オフィスでは、桜井美優が落ち着かない様子で行ったり来たりしていた。

そこへ星野結花がドアを押し開ける。桜井美優は待ってましたとばかりに駆け寄った。

「大丈夫!? あの魔王に何かさ...

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