第62章

綾野大翔は、あの夜のことを思い出しても、やはり腹立たしさがこみ上げてきた。

「覚えてろよ!」

吐き捨てるように言い残し、彼は大股で立ち去る。

桜井美優はくすっと笑ってから、ソファーへ腰を下ろした。

あの日は王様ゲームで負けたうえ、酒も入っていた。大学の同級生に煽られて「男でも捕まえてこい」と背中を押され、運悪く行き当たったのが、酔い潰れていた綾野大翔だった。

――まさか、あいつが……使いものにならないなんて。

桜井美優は、自分の運の悪さにうんざりする。

女として生きるって、ほんと――。

十八の夜のことは、この先も一生忘れられない。桜井美優は、写真立ての中の息子、桜井浩平の写真...

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