第79章

村井麻実は、その名を聞いた瞬間、指先にぎゅっと力が入った。

星野結花、星野結花……どうしてどこに行っても星野結花なの。

「お姉ちゃんは、さっき帰っちゃったの」

村井麻実は無邪気そのものの笑みを崩さないまま、池田琉生の腕に甘えるように抱きついた。

「でもね、ちゃんと私たちのこと祝福してくれたよ!」

「それならよかった」

村井佐奈子はそう言いながらも、瞳の奥をかすめたのは、ほんのわずかな落胆だった。

「旦那様、大奥様がお呼びです」

「おじさん、おばさん、先に麻実を連れて行ってくる」

「ええ、ええ」

村井佐奈子は穏やかにうなずき、柔らかく微笑んだ。

池田琉生と村井麻実が去ると...

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