第88章

新山晃は身をかがめ、星野結花が手にしていたアイスクリームに口をつけて、ひと口だけ食べた。

「……え。な、なんでここにいるの……?」

結花の瞳は、驚きで揺れている。

「甘すぎ。子どもが食うやつだろ」

晃はそう評すると、何でもないように結花の腰を片手で抱いた。

「細いな」

結花は、からかうようなその仕草に指先がきゅっと強張る。

「……会社にいるんじゃなかったの?」

晃は結花の手からソフトクリームを取り上げると、狙いすましたみたいにゴミ箱へ放り投げた。すとん、と綺麗に入る。

そして伏し目がちに、甘やかすように笑う。

「会いたくなった。ダメ?」

「なんで捨てるのよ! まだ食べた...

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