第5章

翌日の午後、私は川崎順平のアパートで、勉強しているふりをしながら、実は海外行きの航空券の値段をググっていた。そのとき、ドアをノックする音がした。

「じゃーん!」

山本涼太の声だ。

私は慌ててノートパソコンを閉じ、満面の笑みを浮かべて入ってきた山本涼太を迎えた。「涼太くん! うそ、こんなに早く来たの?」

私は飛び上がって彼を抱きしめた――昔みたいにぎこちなく肩を抱き合うんじゃなくて、ちゃんとしたハグを。体を押し付けると、彼が一瞬こわばるのを感じた。でもすぐに、きつすぎるくらい強く抱きしめ返してきた。

「杏奈……」彼の声はいつもと違って聞こえた。「すごく……きれいになったな」

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