第7章

近くの喫茶店で席につくと、山本涼太の目は複雑な色を浮かべていて、何を考えているのか読み取れなかった。

「杏奈」彼は単刀直入に切り出した。「本当に……順平と?」

私は彼を見つめ、戸惑ったふりをして見せた。「ただ……お互い好きだから……」

「でも、俺には気があるような素振りを見せてただろ!」山本涼太の冷静さが崩れかけていた。

私は驚いたふりをする。「涼太、私はただ友達でいたかっただけ。もし誤解させるような態度を取ったなら、ごめんなさい」

「友達?」彼の笑みが歪んだ。「杏奈、俺が君のためにどれだけ尽くしたと思ってるんだ」

「わかってる。感謝してるわ」私は声を和らげた。「でもね、涼...

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