第6章
王妃宮にて、母であるヴィクトリア妃は侍女からの報告を冷たい表情で聞き終えると、優雅に手を振って下がらせた。
「ルル・サンダースの今月の手当は半減、それから今季の新しい衣装の割り当ても、全て取り消しなさい」
母は、淡々とした、しかし有無を言わせぬ口調で罰を言い渡した。
私はその隣に座り、内心ほくそ笑んでいた。これがあのクレモント家の娘に手を出した報いというわけだ。
人の不幸を喜ぶべきではないと分かってはいるものの、いつもか弱く可憐なルルの顔が、新しい服を買えずに歪むところを想像すると、どうしても笑いが込み上げてくる。
「アリス、淑女がそのような表情をするものではありませんよ」...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
13. 第13章
14. 第14章
15. 第15章
16. 第16章
17. 第17章
縮小
拡大
