第5章

宮本利が出張に出てからの日々は、驚くほど平穏に過ぎていった。

毎朝六時半、私のスマホには彼からの挨拶メッセージが時間通りに届く。

夜十時半には、おやすみのメッセージがもう一件。

『言、今日はいい天気だよ。東京も晴れているといいな』

『研修は充実していて、たくさんの新しい知識を学んだよ。帰ったらシェアできると思う』

『今日、展示会で何人か面白い起業家に会ったんだ。彼らの話はすごく刺激的だった』

私はこれらのメッセージにほとんど返信しなかった。システムの要求に従い、私は彼と冷戦状態を保ち、間近に迫った別れへの下準備をする必要があったからだ。

その温かい文字を見るたび、私の...

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