第33章 彼女を娶る真相

若林詩羽が足早に、ひと気のない路地裏へと入り込んだ。

鳴海絃星はそのあとを追い、ほどなくして、さきほどレストランで見かけた男の姿を見つける。

彼女は壁際の影に身を滑り込ませ、息を潜めた。身体を壁に沿わせ、闇と同化するように。

次の瞬間、男がいきなり若林詩羽を抱き寄せ、顔を伏せて唇を重ねようとする。

若林詩羽は顔を背け、強く突き放した。抑え込んだ苛立ちが声に滲む。

「坂東浩、いい加減にして。ここで発情しないで」

押し返された坂東浩の顔に、不快の色が走る。

舌で唇を舐め、次いで大きな手で若林詩羽の尻をばしんと叩いた。

「は? 利用したらポイかよ。昔、八幡誠言を『偶然』で囲ませたと...

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