第14章 崩れた

桜井昭子は吐き気をこらえ、「小林社長、約束通り、契約書を渡します。私の友達を解放してください」と言った。

「いいだろう」小林淮人は向こうの者に電話をかけ、全てを指示し終えると、部屋のドアをノックした。「ベイビー、もう入れてくれるだろう?」

桜井昭子は恐怖に満ちた表情で背後の男を一瞥した。彼なら何とかしてくれると言っていたではないか。もう瀬戸際だというのに、どうしてまだ何も言わないのだろう。

「待ってください、小林社長……」

度重なる拒絶に小林淮人は苛立ちを募らせ、ドアを叩きながら脅すように言った。「お前の友達に無事でいてほしいなら、今すぐ俺を中に入れろ」

桜井昭子が睡眠薬を買ったのは...

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