第181章 産みたくない

そう考えると、篠崎司は桜井昭子を抱きしめる腕に、さらに力を込めた。いつか彼女が「帰る」と言い出すのではないか。それが怖くてたまらなかった。

彼女が帰れば、遠山圭吾ともこうするのだろうか? 抱きしめ合うのだろうか?

心臓がじくじくと痛み、その疼きは止まることを知らなかった。

瞳の奥に渦巻く狂気じみた執着と不安を見て、桜井昭子は息を呑んだ。彼がどうしてしまったのかわからず、思わずその頬に手を伸ばそうとする。

だが、彼女の手が触れるより早く、篠崎司は彼女の胸に顔を埋め、そこから安心感を貪るように吸い上げた。

彼の不安が伝わってくる。けれど、何が彼をそこまで追い詰めているのか、桜井昭子にはわ...

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