第188章 彼女にしか属さない

結城遥は篠崎司の姿を認め、声をかけようとした。だが、彼は彼女に目もくれず、そのまま素通りして桜井昭子の方へと歩き去ってしまった。

遠ざかる背中を睨みつけ、怒りで体を震わせる遥。しかし、すぐに表情を取り繕い、森山七海の前へ進み出ると愛想よく挨拶をした。

「森山さん、お久しぶりです」

七海は彼女をジロリと品定めしたが、記憶にない様子だ。

「あなたは?」

森山七海と関係を築く絶好のチャンスだ。結城遥は慌てて自己紹介を始めた。

「私は結城遥です。皮膚外科を専門にしている医師で、海外でもそれなりに名は知られているのですが」

それを聞いても、七海の反応は冷ややかだった。

「知らないわ」

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