第206章 どこ触った

警察が去ると、残っていた人々も三々五々にその場を後にし、柳瀬と昭子は地下駐車場へと足を向けた。

蓮が昭子だけを別の場所へ呼び出そうとしていたことを知ると、柳瀬は少しばかり興味深そうに口を開いた。

「あの九条蓮って野郎、本当にとんだ古狸だな。尻尾を掴むのは骨が折れそうだ。……だが、明日はどうするつもりだ? 行くのか?」

昭子は少しの間考え込み、やがて首を横に振った。

「わかりません……。あの人は用心深いから、不用意に行けば罠に嵌まるかもしれません」

柳瀬は車のエンジンをかけながら、彼にしては珍しく気の利いた言葉をかけた。

「心配するな。行くって決めたら言えよ。図体のデカい熱心な市民た...

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