第216章 会社を引き継ぐ

「ここは、お前の姉さんが使っていたオフィスだ」

柳瀬はそう言って、ドアを開けた。

内装はシンプルだが温かみがあり、つい最近掃除されたばかりのようだった。

昭子は中へと足を踏み入れ、部屋を見渡す。ここが、姉がかつて働いていた場所……。

「『知意デザイン』も、彼女が一から立ち上げた会社だ。本来なら亡くなった後、桐山涼が引き継ぐはずだったんだが……あいつ、どうかしちまったのか、結局俺が管理することになった」

「だが、お前が帰ってきた。桜井杏ではなく、その妹としてな。この会社の経営権は、どう考えてもお前に返すべきだ」

その言葉に、昭子は呆気にとられた。思い出に浸る柳瀬を振り返り、慌てて首を横...

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