第302章 彼の逆鱗に触れる

「姉さん、あいつがあんな風に俺たちを虐げているのに、一言も言ってくれないんですか? 俺たちは親族じゃないとでも? あまりに薄情すぎますよ!」

「どうせ、あんな立派な孫を育て上げたんだ、とっくに私たちのことなんて眼中にないんでしょうね。何を期待したって無駄よ」

 親族たちの心ない言葉に、芳江の表情が陰り、怒りでその身がわななき始めた。

「司!」

 彼女は年長者としての威厳を示そうと怒声を上げたが、司はそれを意に介する様子もなく、ただ冷ややかに鼻を鳴らした。

「見ろ、この惨状を。……俺たちの『ご先祖様』にまで悪態をつくとは、いい度胸だ。普段から随分と不満が溜まっているようじゃないか」

...

ログインして続きを読む