第334章 名分を争う

画面の中の桜井杏。その一挙手一投足を見逃すまいと、昭子は食い入るように見つめていた。面識はない。だが、体の奥底から懐かしさにも似た何かが込み上げてくる。

杏が桐山涼の名を叫んだとき、その瞳には涙が光っていた。昭子には痛いほどに分かった。姉は、本当に、心の底から涼を愛していたのだと。

施設で育った昭子は、肉親の情愛というものを知らずに生きてきた。けれど、こうして杏の姿を目にした瞬間、家族がそばにいる温もりを理解できた気がした。

杏の弁解、そして光を失った瞳。それらを目の当たりにして、昭子の瞳から涙が溢れ出した。

姉は涼を裏切ったのだと、ずっと思っていた。けれど真実は違った。汚され、嵌められ...

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