第338章 彼を失うのが怖い

ユキは困ったように手をひらひらと振った。

「そんな簡単に説明できる話じゃないんですよ。最初、森山さんは篠崎社長が子供を連れ戻すことを了承したんです。でも、子供が戻った後、社長は森山さんとある場所へ行くよう要求されて……そこへ行った後、先生はK組織を抜けると言い出したんです。だから……」

 事情の全貌は見えないが、須田樹も概ね理解した。

 彼は重傷を負った篠崎司を一瞥し、憤りを露わにする。

「だとしてもだ! ここまで痛めつける必要があるのか!」

「この怪我は、森山さんの仕業じゃありません」

 ユキの言葉に、須田樹は呆気にとられた。森山さんじゃないなら、一体誰が?

 問い詰めようとした矢先、廊...

ログインして続きを読む