第339章 あなたがいればいい

嗚咽が激しくなるにつれ、篠崎司は少なからず狼狽した様子を見せた。彼はすらりと伸びた指先で彼女の目尻から零れる涙を拭い、優しく慰める。

「昭子、泣かないでくれ。俺が怪我をしたのは『K』の内部で少し揉め事があったからだ。お前のせいじゃない」

桜井昭子は瞳に涙を湛えたまま、彼を見上げた。

「ジョージさんの仕業じゃないんですか?」

篠崎司は首を横に振った。

「まさか。あいつじゃない」

その人物の名が出た途端、篠崎司の瞳が凍りついたように鋭くなる。忌まわしい記憶が蘇ったかのようだった。

表情の変化に気づいた桜井昭子は、慌てて誰にやられたのかと問い詰める。だが、深く知れば彼女まで危険に晒されかねな...

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