第342章 賭けに負けた

「昭子、安心しろ。初夜はたっぷりと可愛がってやる。期待しておけ」

篠崎司はそう囁きながら、桜井昭子の耳たぶを指先で愛撫した。

以前から篠崎司の物言いはこうだ。慣れてしまっているとはいえ、やはり頬が熱くなるのを止められない。桜井昭子は慌てて彼の腕の中から抜け出した。

「司さん、ちゃんと休んでください。何かお腹にたまるものを作ってきますから」

離れようとした瞬間、手首を強く掴まれた。男の口調は強硬で、一切の反論を許さない。

「式の延期はなしだ。予定通り行う。その時になって逃げ出すなよ、分かったか」

一度決めたら、テコでも動かない男だ。特に桜井昭子との結婚に関しては尚更である。あれほど待...

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