第396章 彼女を裏切れない

桜井昭子は医師の連絡先を江口美月に送信した。すると、背後から篠崎司が彼女を抱き寄せ、事の経緯を説明し始めた。

「実は最初、俺があいつを治療してやろうとしたんだ。だが、あいつ自身が拒んだだけだ。これだけ時間が経っちまった今、治療を受けたところで完治する可能性は低い」

男はそう言いながら、桜井昭子の透き通るような白い横顔を見下ろした。

「だから、最悪の結果も覚悟しておけ。俺が手配した専門家でも、あいつを再び立たせることができるとは限らない。俺が助けたくなかったわけじゃない」

桜井昭子は頷くと、自ら腕を伸ばして篠崎司の首に抱きついた。

「ええ、わかってる。あなたがずっと、彼を助ける方法を考...

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