第47章 信じられない

桐山霖は彼女を人気のない場所へと連れて行った。桜井昭子は真っ先にその手を振り払い、小声で「ありがとう」と礼を言った。

先ほどからずっとそこにいたせいで、何とも言えない居心地の悪さを感じていた。桐山霖が連れ出してくれたおかげで、ようやくあの修羅場から逃れることができた。

「なぜあんなことを?」桐山霖は彼女の目をじっと見つめる。桜井昭子が無理矢理やらされたのであって、自ら望んだことではないと知りたかった。

だが、彼女の瞳から桐山霖が感じ取れたのは、ただ冷めた無関心だけだった。

「桐山社長はすべてご覧になったでしょう?これ以上何を言えと?」桜井昭子の口調は平然としており、自分のために弁解しよ...

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