第60章 小林淮人

桜井昭子は礼儀正しい笑みを返したが、そのよそよそしい態度に桐山霖は内心少しがっかりしたものの、すぐにその感情を隠した。

彼女は桐山霖が直接会場へ連れて行ってくれるものと思っていたが、意外にも向かった先はデパートだった。

桐山霖はまるで仕返しでもするかのように、一度に十数着ものオートクチュールのドレスとジュエリーを買い求め、それらはすべて桜井昭子への贈り物だった。

桜井昭子が当時言っていたことがすべて真実だったと知ってから、彼はどうすれば二人の関係を修復できるか、ずっと考えていた。

桜井昭子は綺麗に包装されたドレスを見て、途端に頭が痛くなり、顔を向けて言った。

「桐山社長、こんなことは...

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