第77章 通報

長谷川悠人はどこか様子がおかしく、患者衣を着たまま桜井昭子の腕を必死に掴んでいた。

数人の医師が追いかけてきて長谷川悠人を取り押さえ、大声で次々に指示を飛ばす。「早く! 鎮静剤を!」

桜井昭子は驚いて数歩後ずさった。

長谷川悠人に会うのはずいぶん久しぶりだったが、彼は精神に異常をきたしてしまったのだろうか? 一体何が起こったというのだろう?

長谷川悠人が連れて行かれるのを見て、桜井昭子はこれ以上関わりたくないと思い、きっぱりと背を向けてその場を去った。

以前、古川蘭の素性について聞いたことがあった。この病院の院長であり、若くしてその地位に就いたことは、確かに桜井昭子を感心させた。

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