第9章 後事を託す

篠崎修斉は躊躇った末、とうとう不憫に思った。

「鈴木さん、あそこにつけて、あの子たちを乗せてあげなさい」

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、別の痩せた人影が交差点に現れ、桜井昭子の体を支えた。江口美月は目を真っ赤にし、泣き出しそうな様子で言った。「昭子、大丈夫? 怖がらせないでよ」

今日の一件で、桜井昭子の体はすでに限界に達しており、まったく立ち上がることができなかった。それでもなお、彼女は首を横に振って、江口美月に心配をかけまいとした。

「美月ちゃん、私なら大丈夫」

江口美月は心配で声が震えていた。「昭子、今すぐ救急車を呼ぶから、待ってて」

一台の黒いロールスロイスが二人の...

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