第18章

背後から、鈴崎潤の途切れ途切れの声が聞こえた。

「まだ少し具合が悪い。鎮痛剤を飲んだ。病院に行く」

「病院」という言葉に、宝生知優の足がぴたりと止まる。

電話を切った直後、ついさっき階段を上がったはずの宝生知優が、なぜかまた彼の前に現れた。

「病院に行くの? 私も一緒に行く」

宝生知優は、鈴崎潤の本当の状態を確かめたかった。

鈴崎潤は椅子の背に掛けていた上着を手に取り、羽織る。声は冷え切っていた。

「いらない」

容赦なくはねつけられても、宝生知優は相変わらずにこにこと笑う。

「夫の体調が心配でもダメなの?」

鈴崎潤は眉をひそめた。この女の気持ちが、そんなに純粋なはずがない...

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