第23章

その場にいた三人は、それぞれ胸の内で同じものを感じ取っていた。

羽村がわざとらしく咳払いし、横目で井ノ原珠子を見る。

井ノ原珠子は笑みを引っ込めると、両手をポケットに入れたまま背後のデスクに気だるげにもたれ、ゆっくり口を開いた。

「宝生さんは、さすが鈴崎潤の奥さんだね。物の言い方まで、あの人そっくりだ」

宝生知優は冷ややかな顔のまま返す。

「井ノ原様ほど、本音を上手に隠せる方もそういませんけど」

視線がぶつかる。

言葉は少ないのに、火花だけが散っていた。

井ノ原珠子の目の奥を、かすかな嘲りがよぎる。

「商売っていうのは戦いでしょう。結局は強い者が勝つ。隙を突かれたのも、自分...

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