第30章

宝生知優は彼のベッド脇にうつ伏せになっていた。男が目を開いた、その瞬間――彼女の瞳の奥にぱっと灯がともる。

「起きてたの?」

抑えきれない喜びが、声の端からこぼれた。

鈴崎潤は気だるげにまぶたを持ち上げただけで、喉の奥から低く「……ああ」と漏らす。

「ベッドで寝てもいい?」

下唇を噛んで笑い、暖色のスタンドライトが、頼み込むような横顔を縁取った。

断られるのが怖いのか、彼女は照れたように付け足す。

「外、雷鳴ってて……怖いの」

――面倒くさい。

鈴崎潤は眉を寄せる。

「布団、持ってこい」

許可が下りた途端、宝生知優の目がきらりと輝いた。撤回される前にと言わんばかりに、自...

ログインして続きを読む