第66章

運転手は宝生知優に言われたとおり、テニスコートの外でしばらく待機し、その後彼女を乗せて屋敷へ戻った。

帰りの車内で、宝生知優はひと言も発しなかった。

窓の外を流れていく景色を眺めながら、思考だけが遠くへ漂っていく。

夕方になっても、彼女はひとり部屋にこもったまま。

手持ち無沙汰に、またスマホを取り出した。

画面は静かなまま。

通知はひとつもない。

もう午後いっぱい過ぎたというのに、鈴崎潤からは何の連絡も来ていなかった。

こんな時間まで帰ってこないだけでも腹が立つのに、ひと言の説明すらない。

不機嫌そうに眉を寄せ、指先を鈴崎潤の番号の上でしばらく止める。

それでも結局、彼女...

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