第157章

 私も父の言葉に少なからず不意を突かれたが、海子ほど驚きはしなかった。父がここ数日、ずっと上の空だったのは、この問題を考え続けていたからなのだろう。父なりに悩み抜いた末の決断であることは間違いない。その最大の理由は、やはり彼と海子の関係にある。父もまた、恐ろしくなったのかもしれない。伴侶を見つけることで、この問題を根本から解決できる。再婚して新しい家庭を持てば、海子とのあの艶めかしい関係を断ち切らざるを得なくなる。別の女性に目を向けることで、海子への想いを薄め、意識を逸らすこともできる……つまり、すべては海子との関係ゆえのことだ。事態が取り返しのつかない領域に踏み込む前に。

「父さん、本気...

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