第171章

父と海子の関係については、これまでずっと、自分の気持ちを切り分けて考えることができていたつもりだった。けれど今この瞬間だけは、胸の内を自分でも言葉にできない。感情が、複雑さの極みまで膨れ上がっている。

胸の奥が焼けつくように熱い。今にも溶けてなくなってしまいそうだ。身体は呼吸という本能そのものを忘れてしまったかのようで、意識して呼吸のひとつひとつを数えなければならない。

これまでは、父と海子がどれだけ狂ったように貪り合おうと、どこかでまだ余裕があった。取り返しがつかないところまではいかないはずだと、どこかで高をくくっていたのだと思う。だが、今日だけは違う。本気で怖くなっていた。海子の身体...

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