第200章 IFストーリー

 父が海子の腕を支えながら病室へ入ってくる。ふたりの身体が、薄く透けた今の私の身体をすうっと通り抜けた。そのときようやく、自分が気づく。

 ――今の私って、魂の状態なのか? 幽体離脱ってやつか? こんな虚ろなもの、本当に存在するのか? これ全部、現実なのか? それとも、ただ夢からまだ覚めていないだけなのか。

 若い頃の私は、こういうオカルトじみた話が大好きだった。若さゆえか、妙に新しいものや不思議なものに惹かれていて、幽体離脱に関する特集記事なんかもわざわざ探して読んだ覚えがある。

 人間が死の縁をさまようとき――いわゆる臨死体験が起こる。その臨死体験の一部として、しばしば「魂が体から...

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