第203章 IFストーリー

 どれくらい時間が経ったのかは分からない。ぼんやりしていた意識が、ゆっくりと頭の中へ戻ってくる。五感も、少しずつ輪郭を取り戻していった。

 やがて、完全に覚醒した感覚が訪れる。それでもすぐには目を開けず、まずは病室の気配に耳を澄ませた。

 どのくらい眠っていたのか分からないというのがひとつ。もうひとつは――目を覚ましたあと、父さんと海子にどう向き合うのか、まだ自分の中で答えが出ていなかったからだ。

 何も言わずに耐え、体が回復したら一人でどこかへ消えるか。それとも、今までと同じように振る舞うのか。

 死線をくぐったせいだろうか。人間、もっと自由に、おおらかに生きるべきなんじゃないかと...

ログインして続きを読む