第205章 IFストーリー

「どうしたのかな? そんなに答えにくいことなの?」

ふたりが視線を絡ませたまま、ぎこちなく固まっている様子を眺めながら、わざと首をかしげて、いかにも無邪気そうな声を出す。

「その……違うんだ……理由は……退院してから、ゆっくり……ゆっくり思い出せばいい……」

父は引きつったように口元を歪め、泣き出しそうな苦い笑みを浮かべて、言い訳めいた言葉をつっかえつっかえ並べるばかりで、結局まともには答えようとしない。その横で海子は、ずっと俯いたまま口を閉ざし、さっきまでの否定の言葉も止んでしまって、ただ緊張と困惑を抱え込んでいるのが見てとれた。

「ねえ、あなた、そんなに焦らないで。時間をかければ...

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