第21章

父が海子の寝室へゆっくりと歩いていく姿を見て、私の両手は止めどなく震えていた。父が海子の部屋に入るなんて信じられない気持ちだった。これは私の想定とは少し違う、事態の展開が予想外だった。

私の疑わしい視線の中、父は海子の部屋の前まで歩いていった。

父は震える右手をゆっくりと海子の寝室のドアノブに置いた。父の手が軽く押し下げれば、海子の部屋のドアは開くだろう。

ドアノブに手を置いた後、父は突然躊躇した。表情を次々と変える顔から、父が激しい思想の葛藤をしているのが見て取れた。

数分が経過したが、父は海子の寝室のドアロックを押し下げず、手をだんだんと離していった。

それを見て、私は心の中で...

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