第229章 IFストーリー

 隣で聞こえる海子の、どこか不規則な呼吸。胸の奥で、激しいせめぎ合いが起きているのが手に取るように分かる。片方には、俺への忠誠と理性。もう片方には、性嗜好に突き動かされた、どうしようもない欲望の飢え。どちらが勝つのか、それはまだ分からない。

 けれど──それは俺も同じだった。

 さっき海子にああ言った時、表面上の俺はやけにサバサバしていた。未練なんてこれっぽっちもないような顔をして、軽口まで叩いていた。だがあれは、海子の警戒心とわだかまりを少しでも和らげるための演技に過ぎない。俺はもう気にしていない、と錯覚させるための、薄っぺらい仮面だ。

 本当に、気にしていないのか。

 そんなはず...

ログインして続きを読む